とみおか心療クリニック 院長ブログ

旧称・とみおか心療クリニック(仮称) 開院準備ブログ

当院で対応が難しいケースについて(2024年9月1日改訂)

 当院は個人クリニックであり、現在、医師は院長1名、設備もスタッフの人数も限られております。なので、初診していただいている患者さんのうち、どうしても当院では治療対応が難しい患者さんも、一定割合でいらっしゃいます。

①そもそも医療・治療というものを理解できない方、医師の判断・提案を受け入れず、自分の考えを強引にゴリ押ししようとする方(治療契約が結べない方)。

 Google等の口コミで、色々な病院・クリニックにされた評価をみていると、しばしば目につくのが「希望する薬を出してもらえなかった」というものがあります。

 大変悲しいことですが、病院・クリニックにかかることを、飲食店で料理を注文するのと同じ感覚でとらえている方が、少なからずいます

(決して飲食店等を見下しているわけではありませんので、くれぐれも誤解ないようお願いいたします)

 以前、東京のクリニックに短期間アルバイト勤務していたとき、強力な依存症を引き起こすので有名な薬剤を処方してくれと、極めて強硬に要求してくる患者さんがいました。依存性の問題もさることながら、その人の症状に全く適応でないため、医学的判断に基づき断ったのですが、その人は暴言を吐いて診察室から出て行ってしまいました。

 これが例えば飲食店であれば、カレーを食べたかったのにラーメンが出てきたりしたら、怒って当然だしGoogleに最低の評価をされてしまうのもわかります。

 しかしながら、医学的にみてその人に明らかに有害な薬なのに、いい評価を得たいからという下心で希望するままに処方するという行為は、医者の風上にも置けない行為だと思いますが、いかがでしょうか?

 

 当然ですが、医療機関を受診するということは、素人である患者さんが、自力では困っていることを解決するのが難しいため、専門家の力を借りて解決するためというのが本来の目的です。したがって、自分では判断できないことを、専門家である医師が判断・提案し、それを患者さんが受け入れ実践することで、治療が成立します。

 なので当然ですが、そのような、医師による判断・提案が受け入れられず、自分の考えに固執しそれをゴリ押しするのでは、そもそも治療が成立しません(治療契約が結べません)。そのような場合、当院では治療ができません。

 

 厳しい言い方をしますと

「薬の処方を、飲食店の料理注文と勘違いしている方は、来ないでください」

 

②入院治療が必要なケース・患者さん本人が治療を拒否しているケース

 うつ状態希死念慮(死にたい気持ち)が強い場合、実際に自傷行為や自殺企図を行っている場合、逆に躁状態でテンションが上がりすぎて興奮が激しい場合、幻覚妄想が激しすぎて治療の必要性を理解できない場合、などは基本的には入院治療が必要です。このような場合は、最初から入院病床のある精神科医療機関に受診することを、おすすめいたします。また、必ずしも入院前提というわけでなくても、ある程度症状が重い患者さんの場合は、医師が複数勤務しマンパワーも充実している病院を受診されたほうが、治療がしやすいかと思います。

 また時々、患者さん本人が治療を拒否しているけども…というケースもあり、ご本人不在でご家族などが相談にみえるケースもあります(自費での対応になります)。が、ほとんどの場合、入院治療が必要か、少なくとも当院のようなマンパワーの乏しいクリニックでは対応が難しいケースがほとんどです。そのような場合も、最初から入院対応が可能な規模の医療機関を受診されたほうが、スムーズかと思います。

 これら以外にも、高齢の患者さんで、症状が激しいが薬の副作用も強く出て調整が難しい、といった場合も、入院での調整のほうが無難かもしれません。

 具体的病名で言うと、統合失調症、双極性感情障害(躁うつ病)は、当院で対応できるのは、症状が安定している方限定になります。最近まで入退院を繰り返している方は難しい可能性が高いです。

③継続的に長時間(15分以上など)の診察を希望される方、心理カウンセリングを希望される方

 当院は現在、医師は院長1名で運営しており、診療時間の制約もあることから、初診はともかく再診では、継続的に長時間(15分以上など)の診察をすることができません。そのような長時間の診察を希望される場合、通常、医師の診察と並行して、臨床心理士公認心理師)のような心理専門スタッフにより心理カウンセリングが行われるのが一般的ですが、当院では現在、そのような心理専門スタッフが勤務していないことから、心理カウンセリングが実施できません。また、なので、もしそのような診察を希望される場合は、現状、心理カウンセリング対応が可能な医療機関を紹介させていただいております。

 以上の理由から、具体的病名で言うと、摂食障害、パーソナリティ障害(人格障害)は、カウンセリングが必須なため当院では対応できません。各種依存症(アルコール、薬物、ギャンブル、窃盗、等)も、専門的なカウンセリングや治療プログラムが必要なため、対応できません。

 詳しくはこちらの記事「当院での診察時間について(再考)」をご覧ください。

④治療ではなく法的係争のための診断書作成目的の方、脳器質性疾患で継続的な精密検査(脳波・CT等)が必要な場合

 法的証明には客観的証拠となりうる精密検査が必要ですが、それが当院ではできませんので、対応できません。

 また当院では脳波検査やCTなどの画像検査の設備がありません。なので、例えば、てんかんで薬物調整が必要な場合など、脳波検査をしながらの薬剤調整ができません。なので、そのような場合も、対応可能な医療機関を紹介させていただいております。

⑤20歳未満の方 ⇒詳しくはこちら

 未就学のお子さんの場合、小児科的な疾患の可能性も高いため、まずは小児科(できれば小児神経疾患専門の先生)を受診されることをおすすめいたします。

 小・中学生以上であっても、20歳未満の方は成人と異なり、専門的な心理検査やカウンセリングが必要となることが多いため、まずは児童思春期精神科専門の医療機関を受診されることをおすすめいたします。

(2022年9月2日追加・以前は小学生、中学生、高校生でも児童思春期専門医療機関に既に通院し、症状安定し治療方針確定している方で紹介状ありの方は受け入れていましたが、結局その後状況が変化し児童思春期専門精神科でないと対応が難しい事態となり、そのような病院を再度紹介することになる方が多かったこともあり、20歳未満の方は一律上記の対応とさせていただくことといたしました)

⑥診断書作成目的のみの方、検査目的のみの方、「一度話を聴いてほしい」だけの方

 初診予約可能な時間枠は非常に限られており、継続的な治療が必要な方だけでも常に平均して2週間~1か月先まで埋まっているのが現状です。なので、継続的な治療が必要な方を優先させていただくべきだと考えております。

 ⑦その他

  現在、医師は院長1名で運営しているため、よくも悪しくも個人のクセというか、患者さんと合う合わないという問題も発生する可能性があります。当院のような個人開業医というのは、飲食店でいうと、「オーナーシェフのレストラン」のようなものであり、お客さんの味の好みに合うか合わないか、という問題は必ず発生します。

 なので、そのような、合う合わないの問題を避けるという意味では、飲食店の例えでいえば、オーナーシェフのレストランではなくファミレスかフードコートに行くのが無難なのと同様、複数の医師が勤務している大病院を受診するほうが無難でしょう(心療内科・精神科の医師は個性的な人が多いので、フードコートの例えのほうが現状に合っているような気がします)。

 当院に受診していただいた患者さん全員がよくなっていただきたいのは当然のことですが、どうしても、個人クリニックという制約があり、院長個人の力量、患者さんとの相性、設備・スタッフの人員の限界、等により、他の医療機関を受診していただくほうが最善という場合が少なからずあります。そのような場合でも、最善の道を提案し患者さんにとってベストな治療を受けていただくようにするのが当院の義務ですから、そういった提案も含め、ご理解いただければ幸いです。