とみおか心療クリニック 院長ブログ

旧称・とみおか心療クリニック(仮称) 開院準備ブログ

2023年新年の抱負

あけましておめでとうございます。

 早いもので、今年、2023年の5月、当院開院からちょうど5年になります。その間、様々な試行錯誤もありましたが、今後の当院の方針につき、以下のようなことを考えてみました。

1.患者さんに、ご自分の状態を「正しく理解していただく」ことを大前提とし、客観的なエビデンス(≒医学的根拠)に基づき科学的・合理的な治療を行う。

 特に心療内科・精神科の疾患は、患者さん自身に「正しく理解していただくこと」が何より重要と考えています。逆に言うと、それができれば、問題の大部分は解決したと言っても過言でない気さえします。

 例えば、台風や低気圧が接近する季節になると、様々な体調不良を実感する患者さんは多いかと思います。これは、太古の昔の人類、もっと言うと野生動物時代から受け継いだ本能に起因するものです(天気予報などない時代、台風の接近などを体調で実感し無理に外出せず引っ込んで待機し、危険を避けるため)。同じ症状にしても、原因わからずやみくもに恐れおののくのと、ある程度理屈を知っているのとでは、心構えが違うかと思います。

 それと、あまり他の病院のやり方を悪く言いたくはないですが、医学的にみて不適切と思われる薬剤の処方を長期に受けている患者さんも、多くみてきました。依存性のある薬剤を大量に出されている(しかも患者さん本人がその薬を非常に好んでいる)場合などが特に厄介です。不適切だからといって急に総入れ替えをするわけにいかないので、やむを得ず継続しつつ少しづつ調整してゆくしかありません。

 医学の分野のなかでも心療内科・精神科領域は、検査データなど客観的な情報よりも、医師個人の経験則に基づく主観に頼る部分も大きいです。また患者さんのほうも、今受けている治療が適切かどうかの判断も難しいかと思います。例えば、依存性のある薬剤を大量に処方され一時的にいい気分になっているだけなのを「改善している」と誤解し、その薬剤を大量に処方する医師を「いい先生」などと誤解する、などが典型的なケースです。

 医師や医療従事者ではない患者さんに、100%の理解をしていただくのは難しいかと思いますが、出来るだけ理解していただくよう、努めてゆきたいと思います。

2.院内のIT化をすすめ、労働生産性を高め、効率のいい運営を行うよう努めてゆく。

 ご存じの通り、まだコロナ禍も続き、長引く不況、少子高齢化、あり得ないほどの円安、物価高、等、昨今の日本社会は暗いニュースばかりです。バブル崩壊以後の日本社会の凋落ぶりに歯止めがかかっていない気がします。

 政治にはあまり関与したくなかったのですが、多くの患者さんを診察するにつれ、患者さんが病んでしまう原因の大きな部分を占めるのが、この、日本社会の凋落ぶりかと思わざるを得ないです。

↑は、OECDのデータですが、加盟国中、日本以外の他の国は平均賃金が右肩上がりに上昇しているにもかかわらず、平均賃金が横ばいなのは日本だけです(そして昨年、韓国に追い越されたそうです)。

 このように、日本で賃金が上がらない原因の一つとして挙げれているのが、労働生産性の低さです(同じ労働成果を上げるのに他国が1人で済むところを1.5人から2人必要)。そしてその原因はIT化の立ち遅れと言われています。

 当院でも、患者さんから「傷病手当金意見書」などの書類作成を依頼され作ることが多いのですが、そのときに気づいたことがあります。

 「傷病手当金意見書」は、現在、大抵の企業さんはPDFファイルでパソコン作成可能な書式を採用されているところが多く、本当に助かっています。が、一部ですが、いまだに手書きの書類を要求されることも多いです。この場合、当方(院長)非常に悪筆のため、現在は、別の紙にパソコンで作成した文書を、事務スタッフに代筆してもらって指定の用紙に手書きしてもらっています。

 が、パソコンで作成したものをそのまま提出できればどんなに手間が省けるか、わざわざ手書きに直して提出するなどという馬鹿馬鹿しいことを何でしなければいけないのか、理不尽に思うこともあります。このような非効率的なことがいまだにまかり通っているので、日本は労働生産性が低いのだと思います。

 そしてこれは偏見かもしれませんが、(患者さんからの話からの想像するに)パワハラサービス残業といった労働上の問題が多い会社ほど、手書き書類が多い気がします。おそらく、会社内の様々なシステムが、昭和チックというか旧態然としているせいではないかと思います。

 当院では、このようなくだらない慣習や旧態然としたやり方・考え方を徹底的に排除し、合理的・能率的なクリニック運営をするよう努めてゆきたいと思います。そしてそれは、未来の日本社会全体の改善に向けたひとつの見本になれればいいなあ、などと夢想しています(笑)。とはいえ、まだまだ未完成な部分も多く、まだまだ不十分かと思いますが、どうか暖かく見守っていただければ幸いです。