今回は、残念な話題になります。
「お客様は神様です」という言葉があります。これは、歌手の三波春夫さんが生前、舞台に立つ際の心構えとして語った言葉です。この真意は「歌う時に私は、あたかも神前で祈るときのように、雑念を払ってまっさらな、澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできないと思っております。ですから、お客様を神様とみて、歌を唄うのです。」ということだそうです。
しかしいつの時代からか、この言葉が間違った使い方をされるようになりました。
「金を払っている方が絶対的に偉いんだ」「お客様の要求はすべて受け入れろ」「何を言われても我慢しろ」と誤解している方が多い気がします。
また、「医師の応召義務」という言葉も、しばしば誤解されます。これは、医師が患者から診療を求められたら、「正当な事由」がない限り、拒否してはならないという義務です。「正当な理由」の中には、「専門外」「設備不足」「時間外(緊急性のない場合)」「患者側の暴言暴力」等が含まれます。
が、これもまた、「医師はなにがなんでも患者が求められたら診るべきだ」と誤解している方がかなり多いです。
当院においても、残念なことに、このような「カスハラ」行為に該当するケースが時々あります。
「カスハラ(カスタマーハラスメント)」とは、
『顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの』
のことですが、以下のような事例がありました。
●予約なしにいきなり来院、初診予約をとることをスタッフが案内したのに無言で退出、その後「診療拒否された」とGoogleに書き込み低評価
●敷地内で喫煙(院内規則と法律に違反)、かつ吸殻を可燃物のある場所にポイ捨て(火災の危険性あり)、空き缶もポイ捨て(不法投棄)、その件を注意したところ、逆切れされGoogleに書き込み低評価



●依存性の高い薬や専門外の薬を「出してくれ」と強要、断ったところ、「薬を出してくれなかった」とGoogleに書き込み低評価
●久々にいきなり来院、特殊な診断書を希望されたが、当院の設備人員では対応できないような検査等が必要な内容なので、対応可能な他の病院を紹介したが、その後、気に入らなかったのか、Googleに書き込み低評価
などの事例がありました。
これらのケースは、飲食店で言えば、焼き鳥店で「俺はフランス料理が食べたいからフランス料理を作って出せ、今すぐ!」とか言っているのと全く同じです。
病院の場合、「お客様は神様です」に「応召義務」が加わってしまい、患者側のどんな無茶苦茶な要求にでも従うべきだと考えている方が、ごく僅かですがいるのも、残念ながら事実です。
当院におきましては、このような、「カスハラ」行為につき、弁護士と相談の上、刑事・民事での法的責任追及等、断固たる対応をすることにいたしました。具体的には、民事での損害賠償請求、民事訴訟、警察への被害届あるいは刑事告訴を行います。
それは、当院を利用される、多くの善良な患者さんの治療環境を保ちたいというのが、最大の理由です。皆様のご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
