院長の時給は500円???
医師、特に開業医は、リッチだと一般的に思われていますが、本当でしょうか?
そこで、私(院長)自身の収入を、時給に換算してみようかと思います。
例として、開院2年目である2019年の1年間の収入について、分析してみたいと思います。
2019年、クリニックの収入(自己負担+保険収入)は、年間総額、約5000万円でした。
それに対して、必要経費(スタッフの人件費、注射や備品の購入費、採血検査代、設備経費、光熱費、等)の合計は、約4200万円でした。
よって、クリニックの営業利益は、
約5000万円ー約4200万円=約800万円
となります。
年収800万円?なら悪くないと思う方もいるかも知れませんが、ここからさらに、
「銀行への返済」を支払わなければなりません。
これが当院の場合、年間約600万円あります。
なので、
実質的な私(院長)の年収は 約800万円ー約600万円=約200万円
になります。
労働時間ですが、
1日の診療時間は、9:00-12:00、15:00ー18:00で1日6時間ですが、
その他の時間は、昼食約30分、夕食約30分を除き、夜0時まで、診察以外の諸々の業務をこなしています。患者さんにお渡しする書類作成を筆頭に、行政機関に提出する書類関係(毎年、県の複数の部署から同じような内容のアンケート調査が別々に送付されそれぞれ回答を要求され、理解に苦しみます)、各種業者との手続き書類作成、お金の振込、クリニック建物の維持管理、などなど、仕事が終わりません。
そのため、診療日の労働時間は1日14時間 になります。
休診日でも、他の病院でのアルバイトの後19:00ー0:00の間くらいに上記雑用をしていますので、5時間はクリニックのために働いています。
なので、週の労働時間は、
14時間×5+5時間×2=80時間
になります。1年=365日=約52週、お盆と年末年始を除いて50週とすると、
私(院長)の年間労働時間は 80時間×50週=4000時間
ちなみにですが、月の残業時間とすると、(80時間ー40時間)×4=160時間
となり、残業時間は『過労死ライン』とされる月80時間の2倍になります。
以上から、
私(院長の)時給は、200万円÷4000時間=500円
となります。
開院当初は赤字のクリニックも多いとききますので、赤字でない分だけでもましなのかもしれません。
が、過労死ラインの2倍の残業までして、時給500円とは、なんとも悲しくなります。
生活のためには、他の病院でのアルバイトをしないと、とてもではありませんがやっていけません。
「ちっとも儲からない、一体何のための仕事か」と家族から皮肉を言われることもあります。
一番負担と感じるのは、やはり、年間約600万円になる銀行への返済でしょうか。ちなみに、当院開院の数年前に開業された、とあるクリニックの院長先生のブログを拝見したところ「親族から2000万円の借金をしており、親族なのですぐ返さなくてもいいので…云々」とあり、非常に羨ましかったことを思い出します。
なので、開院間もなくから儲かっているというクリニックは、元々ご家庭が裕福で、銀行などから借金しなくてもよい先生が開院されたクリニックでの話で、私のような貧乏人出身の者には無縁の話かと思われます。
以上のように過酷な毎日ではありますが、幸い、患者さんの診療という仕事自体は本当に好きで、毎日楽しくやっております。皆様の温かい応援が本当に励みになりますので、今度とも、何卒よろしくお願いいたします。